cmasterの独り言(´・ω・`)

2ちゃんねるのコテが気ままにつぶやきます(´・ω・`)ノシ

数学!!「1次独立」という事の面白さ!!(´・ω・`)

どうも(´・ω・`)ノシ

( ^ω^)小話

久々な投稿になりますね~
最近は受験勉強そっちのけで漫画を読んだり数学をやったりしています(;・∀・)
他の最近の楽しみの一つに、2chで数学の問題を募集して解く、というのがあります(整数問題が中心です)
数学が好きな人が身近にいないので、クイズ感覚で数学を楽しみ、語り合える場として大切にしています
そんな中ですね(´・ω・`)
昨日出された問題でとても面白い問題があったので紹介したいです
備忘録も兼ねて書きたいと思います
今回のテーマは一次独立ということです
前提知識を必要とする大学数学は使わずに証明するので、気軽に読んでくだしあ(´・ω・`)
写像単射全射くらいは使います。

経緯をざっくり紹介(`・ω・)b

問題が出されたスレはこれ↓です

[数学・整数]ウィルソンの定理って至極当たり前だよな ・
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1522637910/

元々このスレは考えた事を述べただけのスレだったのですが、途中から問題を募集したところ、今回のメインテーマとなる問題が出されました(´・ω・`)
いつもに増してボリューミーなスレです
得られたものが多い!
途中に出てくる「ココナッツの問題」と「条件を満たす点を構成する問題」も面白いので、気が向いたら見てください
では、メインテーマに移りますv(。・ω・。)

問題(´・ω・`)

[問]
内角が全て等しく、辺の長さが全て整数の素数角形は必ず正多角形となることを示せ

是非皆さんも答えを見る前にチャレンジしてみて下さいヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ

問題を解く手がかり(´・ω・`)

自力でチャレンジする方にヒントを…
必要ない、という方はスクロールストップ!(;・∀・)

この問題で与えられている条件は、
素数個の角度
有理数の長さ
この2つです(´・ω・`)
初等幾何で示すのはまず無理だという事はすぐに分かるので、何らかの座標系に落とし込んで考える事になるでしょう
では最適な座標系は何か?と考えた時に、角度の条件を生かせそうな複素数平面に辿り着くのはさほど難しくないように思います
しかし、複素数平面を使うことを発想として予め持っていないとキツいかも知れません…( -ω- `)

メインテーマを明確にしておく!(´・ω・`)

皆さんも「一次独立」という言葉は知っているでしょう
説明せよ、と言われたときに、次のように答えると思います

n個のベクトルv_1,v_2,\cdots ,v_nが、\lambda_1,\lambda_2,\cdots \lambda_n \in Aに対して
\displaystyle \lambda_1 v_1+\lambda_2 v_2+\cdots +\lambda_n v_n=0\\ \Rightarrow \lambda_1=\lambda_2=\cdots =\lambda_n=0
を満たすとき、ベクトルv_iA上一次独立であるという。

これは正しいのですが、これの指し示す意味をきちんと理解しているでしょうか?
私は最近まで気にせず一次独立とかのたまって来たのですが、この問題で一次独立と向き合うことでその本質を確認することが出来ました(´・ω・`)
一次独立とは、ずばり単射です

f(\lambda_1,\lambda_2,\cdots ,\lambda_n)=\lambda_1 v_1+\lambda_2 v_2+\cdots +\lambda_n v_n
なるn個のベクトルの線型結合f:A^n\to \mathbb{C}単射ならば、各ベクトルv_iA上一次独立であるという。

これは最初の定義と同値です(´・ω・`)
証明はとても簡単なので省略しますが、この単射が一次独立の本質なのです!
一次独立とか言わずに単射って言えよ…(^ω^#)
はい、一次独立の確認も済んだところで解答の方に移ります(`・ω・)b

問題の解答はこちら(´・ω・`)

下記中の補題は後に示す。

q素数とする。
全ての内角が等しいq角形であって、全ての辺の長さが有理数であるものをGとする。
Gの頂点の一つをp_0とし、そこから反時計回りに各頂点をp_1,p_2,\cdots とする。
複素数平面の原点にp_0、正の実軸上にp_1が来るようにGを配置する。
以後、p_iで頂点p_iの座標を表す。
また、\displaystyle \xi =e^{\frac{2\pi i}{q}}とする。
Gの外角は全て\displaystyle \frac{2\pi}{q}であるから、各頂点の座標は次の漸化式で表される。
\displaystyle p_{n+1}=p_n+\lambda_n p_1 \xi^n(ただし、\lambda_i \in \mathbb{Q})
よって、p_q=p_0であるから、
\displaystyle p_1+\lambda_1 p_1 \xi+\lambda_2 p_1 \xi^2+\cdots +\lambda_{q-1} p_1 \xi^{q-1}=0\\ \displaystyle \Leftrightarrow 1+\sum_{k=1}^{q-1} \lambda_k \xi^k=0\  \cdots (*)
ここで、補題2より、各ベクトル\xi_i\mathbb{Q}上一次独立*1であるから、
(\lambda_1,\lambda_2,\cdots ,\lambda_{q-1})は存在しても高々1組である。(「単射」に注意せよ)
\displaystyle \xi^q-1=0\\ \Leftrightarrow (\xi-1)(\xi^{q-1}+\xi^{q-2}+\cdots +\xi+1)=0\\ \Leftrightarrow \xi^{q-1}+\xi^{q-2}+\cdots +\xi+1=0
であるので、\lambda_1=\lambda_2=\cdots=\lambda_{q-1}=1のとき(*)は満たされ、これが唯一の組である。
このとき、Gは正q角形になるので、題意は示された。//

続いて、補題1を示す。

[補題1]
多項式
x^{q-1}+x^{q-2}+\cdots +x+1
\mathbb{Q}上既約である。
[証明]
与式が既約であるかどうかは、x\to x+1という変換において不変である。
よって、以後変換後の多項式について考える。
\displaystyle (x+1)^{q-1}+(x+1)^{q-2}+\cdots +(x+1)+1\\ \displaystyle =\sum_{n=0}^{q-1} \sum_{k=0}^{n} {}_n \mathrm{C}_k x^k
であるから、定数項はq、最高次係数は1である。
その他のk次の項の係数が、全てqで割り切れる事を示す。
有名な恒等式を変形すると、
\displaystyle {}_n \mathrm{C}_r={}_{n-1} \mathrm{C}_r+{}_{n-1} \mathrm{C}_{r-1}\\ \Leftrightarrow {}_n \mathrm{C}_r-{}_{n-1} \mathrm{C}_r={}_{n-1} \mathrm{C}_{r-1}\\ \Leftrightarrow {}_{n+1} \mathrm{C}_{r+1}-{}_n \mathrm{C}_{r+1}={}_n \mathrm{C}_r
(ただし、n,r\geq 1)
となるので、k次の項の係数は
\displaystyle \sum_{n=k}^{q-1} {}_n \mathrm{C}_k\\ \displaystyle ={}_k \mathrm{C}_k+\sum_{n=k+1}^{q-1} {}_{n+1} \mathrm{C}_{k+1}-{}_n \mathrm{C}_{k+1}\\ ={}_k \mathrm{C}_k+{}_q \mathrm{C}_{k+1}-{}_{k+1} \mathrm{C}_{k+1}\\ ={}_q \mathrm{C}_{k+1}
となり、これはk\neq q-1のときqで割り切れる。*2
以上より、アイゼンシュタインの定理*3から題意は示された。//

最後に、補題2を示す。

[補題2]
各ベクトル\xi_i(i=1,2,\cdots ,q-1)\mathbb{Q}上一次独立である。
[証明]
\displaystyle f(x)=x^{q-1}+x^{q-2}+\cdots +x+1
とおく。
次の同値な命題を、数学的帰納法で示す。
[命題]
t\leq q-1及び\lambda_1,\lambda_2,\cdots ,\lambda_t \in \mathbb{Q}のとき、
\displaystyle \sum_{k=1}^{t} \lambda_k \xi^k=0\Rightarrow \lambda_1=\lambda_2=\cdots =\lambda_t=0
(∵)t=1のときは明らか。
t\leq s-1で成立を仮定する。
\displaystyle g(x)=\lambda_s x^s+\lambda_{s-1} x^{s-1}+\cdots +\lambda_1 x
とおく。
g(\xi )=0\ \wedge \ \lambda_s\neq 0となったと仮定すると、多項式の除法の原理*4より
f(x)=P(x)g(x)+R(x)…(#)
なる有理数係数多項式P(x),R(x)(ただしR(x)の次数はs-1以下)が一意に定まる。
補題1より、f(x)\mathbb{Q}上既約であるから、R(x)\not \equiv 0である。
f(\xi )=g(\xi )=0であるから、(#)にx=\xiを代入するとR(\xi )=0となるが、R(x)は高々s-1次であり、帰納法の仮定に矛盾する。
よって背理法より、t\leq sでも成り立つ。
以上より、数学的帰納法から示された。//
この命題で、特にt=p-1のとき補題2を得る。//

最後に(´・ω・`)

いかがでしたでしょうか(´・ω・`)
書く方も読む方もめちゃくちゃ疲れる問題でしたw*5
しかし、解き終えた後の嬉しさはすごい!
なんとこの問題はオリジナルなのだそうです
上記のスレの>69さんの自作です
どうやったらこんな良問を作れるんでしょうね…
皆さんの「一次独立」に対する考察が深まったのなら幸いです(´・ω・`)ノシ

*1:q素数である事に注意されたい。素数でないと、補題1が成り立たず、したがって補題2も成り立たないので一次独立にはならない。

*2:有名な事実なので証明は省略するが、数学的帰納法で示す事が出来る。

*3:多項式\mathbb{Q}上既約を示すのに便利な定理。完璧に1から証明を書くならこの定理も証明すべきであろうが、解答が冗長になるので省いた。有名な数学サイト「高校数学の美しい物語」で証明まで紹介されているので、興味を持たれた方はそこを訪れることをお勧めする。

*4:当たり前の事のように見えて、これもきちんと証明すべき事柄である。アイゼンシュタインの定理と同様の理由で、証明は省いた。

*5:現にこの記事を書き終えるのに4時間以上かかった。